近年「レジリエンス」という言葉も少しずつ認知度が上がってきましたが、レジリエンスを向上させるためにはまず「ストレス」について知っておく必要があります。
「みなさんは、最近ストレスが溜まっていませんか?」
「そんなストレスをどう解消していますか?」
今や当たり前のように、毎日耳にする「ストレス」という言葉。
こんな「ストレス」について、詳しく見ていきましょう。
ストレスの歴史
日常的に使われる「ストレス」という言葉。実はこのストレスとは、もともと力学上の言葉で、例えばゴム製の球体をぎゅうっと圧迫したり、スプリングをビヨーンと引き伸ばしたりした時、それに応じて生じた力のことを意味していました。
「ストレス性胃炎」とか「ストレス性大腸炎」というように、医学の世界でストレスという診断名が使われるきっかけとなったのは、1936年にカナダ人の生理学者ハンス・セリエ(1907〜1982年)が提唱した「ストレス学説」でした。心理的あるいは物理的な刺激によって、心身に生じた歪みをストレスと捉えたセリエのストレス理論は、病気の原因は病原体にあると信じられていた当時の医学界に大きな変革をもたらしました。
「ストレス」という言葉が日本の社会で使われるようになったのは、戦後の急激な社会変化の渦中にあった1950年代末。「グラマー」「有楽町で逢いましょう」といった言葉と共に、1957年の流行語にもなっています。 ただ、ストレスという言葉が今のように社会的に定着したのは、バブル期に突入した1980年代のことでした。1985年にはストレス問題を研究する学術団体「日本ストレス学会」が発足し、1989年には人気アイドルだった森高千里が「ザ・ストレス」という曲をヒットさせるなど、アカデミズムの世界からお茶の間にまでストレスという言葉が広く浸透していきました。
ストレスのしくみ
ストレスは、とても不快なものです。
「どこかおかしいぞ」「なにかしなくちゃ!」「変えたり、修正しなくちゃ!」
という信号を体に送ることが、ストレスの仕事なのです。
極端な場合、強い不安感と同じように、生きるか死ぬかの危機にさらされていることを体に伝え、生きるためには「逃げるか、戦うか、留まるかを選べ」と警告するシステムにもなるのです。体には、脅威を察知すると瞬時に呼び起こされる生理学的なプロセスがたくさん備わっています。ときには、原因に気づくよりも先に警告システムが作動することもあります。
こうしたさまざまな体の変化は、安全のために重要ですが、警告ですから体が不快に感じることが多いのです。体が居心地の悪さを感じると、周囲で起きていることを感知することができます。急に行動しなくてはならないときには、リラックスしていた脳を起こして、脳と体をギアチェンジしてくれます。たとえば、“洞穴の探検中に熊に出会う”という危険に陥りそうなとき、ストレスによって素早く安全に私たちを救ってくれるのです!
ストレスの役割
ストレスには2つの役割があります。
1, ストレスの原因から抜け出したり、逃げたりできるように信号を送ること。
2, ストレスをなくすための行動がとれるように、より敏捷に、より効率よく、より効果的に警告すること。
「ストレス曲線」は図のようなものです。
上の図は「ストレス曲線」を表しています。曲線の左側は“ストレスが少なすぎると、効率がよくない”ことを示しています。
締め切りまで1カ月以上ある課題が出されたときのことを思い出してください。はじめは心配にならなかったでしょう?体が機能する準備に入るには、十分なストレスがなかったからです。それから1、2週間たって(曲線の中央)、あなたにとって一番いい状況が訪れ、体と脳が「さあ、はじめなくっちゃな!もうすぐ締め切りだ!」と気づくでしょう。
この「最高のパフォーマンス=スイートスポット」が訪れなかったらどうでしょう?締め切り間際になってパニックで固まり、居心地の悪さから逃げるために見ていた動画の視聴をやめて、一晩か二晩徹夜をして課題をやり終えるかもしれませんね。
ストレスと仲良くなろう
この図から、“最高のパフォーマンスをするためには、ある程度のストレスが必要”ということがわかります!「TEDトーク」という人気のオンライン講演に登場した、ストレスの研究者で著者でもあるケリー・マックゴニガルは、「ストレスと仲良くなろう」という話をしています。
少しのストレスは、居心地が悪いとしても自然で健全です。ストレスは、私たちをストレス曲線の頂点の「スイートスポット」ゾーンに連れていってくれるのです。
たとえば、オリンピックのアスリートは、時間をかけてストレスの「スイートスポット」を学びます。最高のパフォーマンスをするためには、ストレス反応が必要だと知っています。
そして、ストレスと同時に起こる体の感覚に慣れるように訓練をします。その感覚が“旧知の友だち”のようになるまで練習するのです。
皆さんも訓練すれば、「ストレスと仲良くなれる」ので試してみましょう。
次回はストレスの耐性について書きたいと思います。
<考文献:シェリル・ブラッドシャー著「The Resilience Workbook for Teens」>
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